(ハンギョレ紙 社説 8月14日付)
韓半島の平和と南北関係の進展が怖い人々
第2次南北首脳会談 停戦体制を置き換える平和体制への道
こんな状況で、ハンナラ党と一部保守勢力は、首脳会談に、あらを出そうとする意図を隠さず、失望している。 北韓の核問題進展は、今回の会談の前提条件であると同時に、主要目標だ。会談で、北側の核放棄の意思を確認して、会談の成果、また同様に核問題の解決を、裏付けねばならない。
来る28~30日開かれる第2次南北首脳会談を前にして、双方の準備接触がケソン(開城)であった。航空便を利用した第一次会談の時とは違って、大統領夫妻と随行員、記者団すべてが、キョゲソン(京義線)道路を通って訪北することにした事は、それ自体で一定の進展だ。必要ならば、首脳会談合意書に大きな分類としてだけ取っておいた議題に、もう少し、具体的な上に、手助けとなる、追加の接触がなければならない筈だ。
しかし、首脳会談自体が核問題の協議場所ではない。核問題を解くための具体的協議は、国際枠組みである六者協議で成し遂げられる。 今回の会談は、停戦体制を置き換える平和体制の基本枠を組んで、経済協力の強化を通して南北経済共同体を作っていかなければならない重大な課題を負っている。これを度外視して核問題だけを強調するのは、今回の会談を六者会談の下位概念に引き摺り降ろそうとする事と一緒だ。
首脳会談期間に掛かっていた、ファラン・チュンム訓練を、政府と軍当局が9月以降に延期したことを巡って、ハンナラ党と一部保守勢力が非難する姿は、稚拙に見える。会談が成功裏に進行されるように与件を作ることは、あまりにも当たり前なのに、古い対決論理だけを押し立てている為だ
逆に、北側が会談期間中大規模軍事演習をすれば、これは、北側の両面性を指摘して会談取り消しまで言及するかもしれない。 具体的議題となるのに難しい西海(黄海、訳注)北方境界線(NLL)再設定問題を会談と関連させ、声を高めることも適切でない。政府は、軍事的信頼が今より更に進展された後にこそ、北方境界線問題を論議できると言う見解を明らかにしてきた.こんな雰囲気で北方境界線問題を浮き立たせる事は、平和体制論議に助けとなることはない。
今回の首脳会談は、何よりも平和体制の論議と経済協力などで具体的な成果を取り出さねばならない。これは、核問題の解決と平和統一を繰り上げるのに大きく寄与するのだ。韓半島の平和と南北関係の進展が怖くなければ今回の会談が成功するように、すべてが、大局的に協力することこそ当然なのだ。
(訳 柴野貞夫)
解説
この10月2-4日に、2000年6月、金大中大統領の北朝鮮訪問によって実現した、第一次南北首脳会談から7年ぶりに、第二次南北首脳会談が、盧武鉉大統領の平壌訪問によって実現する。(当初8月28-30日の予定が、8月北朝鮮のほぼ全域を襲った水害被害が甚大で、平壌へ向かう韓国代表団の陸路や電力、通信設備、ホテル施設の復旧の為、延期となった。)
第一次会談は、〈6・15宣言〉によって、南北統一に向かう朝鮮民族の意志の確認と南北経済協力で合意し、1953年以来の民族分断と〈休戦体制〉の終焉に向けての第一歩が踏み出された。
朝鮮半島は、アメリカ帝国主義と、日本資本主義国家の利害に利用された冷戦構造が、(朝鮮半島の民衆に敵対して、)今も生き続ける場所だ。アジアの民衆がこぞって追求する“日本の歴史認識の問題”とは、何も、日清・日露から朝鮮植民地支配を経て“大東亜戦争”が終結する1945年までの日帝の歴史犯罪だけを、指しているのではない。朝鮮戦争を経て、戦後冷戦体制の中で一貫して反共軍事ブロックの一員として、米帝国主義とともに、ソ・中・朝・ベトナム民衆への帝国主義的威嚇を通して、自国の働く民衆をも支配して来た日本国家の“戦後の歴史犯罪”も、同時に追求しなければならない。安部の様な国家主義者の台頭は、アジアに対する“反共国家”としての戦後日本が、自国のアジア侵略の歴史を免罪した事によって準備されてきたと言うことが出来るからだ。
安倍自民右翼政権は、その政治的・理念的拠り所と出発点を、現在も一貫して、北朝鮮敵視・脅威論へ国民を動員することに求めている。アジアに残された“冷戦構造”の解決に力を注ぐのではなく、逆にそれを利用して煽り立てるこの男の魂胆は、国民の中でも次第にあきらかに成ってきたようだ。拉致問題において、国家としての北朝鮮を否定し、国家間の「外交交渉」を自ら閉ざしている安倍右翼政権の破綻は、まもなく、第二次南北首脳会談と第二回六者会談の成功の過程で明らかになるであろう。(今や、“金正一を追い詰める経済制裁”であるとか、死亡が確認されている拉致者を“生きて帰らせる”といい続ける安部政権は、国家間の外交交渉もまともに出来ない。北東アジア平和構築の“不安定要因”となっている。)
12月19日の韓国大統領選挙を前にして、軍事独裁政権時代の理念を色濃く残し、抜きがたい反共反民衆政党である、野党ハンナラ党は、南北首脳会談が自身の選挙にとって不利と見て、否定的である。韓国の労働者階級と、民主労働党は、働く民衆の利益と諸権利に無神経なノ・ムヒョン政権への批判を続けるが、今回の南北首脳会談の決定に対しては、支持をしている。
6月抗争のバリケードの中から生まれた“参与政府”、が、その外側にいた、ハンナラ党に取って代わられる事を許してはならない。韓国民衆の戦いに期待したい。
|